現在「江戸前」という響きに、お寿司を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
かつて東京が江戸と呼ばれた時代、「江戸前」と言えば鰻の代名詞でした。
時は八代将軍・吉宗公の時代、現在の本店が建つ上野池之端で伊豆榮は産声を挙げました。
良質な鰻が獲れた上野界隈には小屋掛け程度の簡易な造りの蒲焼屋が建ち並び、当店もそんなささやかな蒲焼屋の一つだったと言い伝えられています。
それから300年・・・、
幕末の動乱期、上野の町が戦火に包まれた上野戦争、
関東大震災に太平洋戦争、そして東日本大震災。
数々の戦災や震災に見舞われても暖簾を守り続けることができたのは、
伊豆榮を支えて下さる多くのお客様がいて下さったからこそ。
今も変わらず上野の地で営業できていることへの感謝を胸に、
江戸前の鰻という世界に誇れる食文化を後世に伝え、
一人でも多くのお客様にその美味しさを伝え続けることを使命に、
これからも精進してまいります。
9代目女将 土肥好美